電気自動車はエコで環境にやさしいのか?
電気自動車は環境にやさしいといわれていますが,一部異論のある方もお見えですね。
曰く,
- 電気自動車のバッテリーを作るためには,現在の技術では相当のエネルギーが必要である。
- 電気自動車の電気を発電所で発電しているのだから二酸化炭素排出に関しては同じことだ
…など。さらに,
- レアメタルなどを掘り返して精製したり,廃バッテリーの処理に,二酸化炭素排出量はむしろ増える
…という指摘があります。
電気自動車の利点
私が考える電気自動車の利点を挙げてみます。
静か
自動車の騒音が相当抑えられます。これにより,都市内や幹線道路沿線の騒音被害がなくなります。
電気自動車が出始めのころ,「電気自動車は音がしないので危険だ。事故が増えるだろう。こんなものは規制しなければならない」…などと馬鹿なことを言って/書いていた人たちがいましたが,いつの時代でもこのようなことを嬉々として喧伝する人はいるものです。なにか新しいことがあるととりあえず,文句をいう・あらさがしをする人たちです。
例えば,インターネット黎明期の話ですが,「このようなものは成り立たない。みんながネットを使いだすと情報量が多すぎてパンクしてしまうだろう。大学などの研究機関以外で使うなど不可能だ!」など,まことしやかにいう人たちもいましたね。
そいつら,いまごろ動画見ているんでしょうね(笑)。
排ガスが出ない
電気自動車は走行時に排ガスが出ないので,渋滞時や,自動車密集地帯での大気汚染が低減します。個人的には,これはかなり大きいと思います。コロナ下で,人々の活動がかなり制限されたために大気汚染が低減した…などの話もありました。
大気汚染は,化石燃料を燃やす火力発電所でも同じことのように思えますが,発電所で集中的に発電するため個々の自動車で排ガス対策をするよりも,火力発電所で集中的に対策を立てるほうがはるかに容易です。また,風力や太陽光による発電なども伸びてきました。
排熱を抑えられる
ガソリンやディーゼル機関では燃料を燃焼することにより,化学的エネルギーを物理的な運動エネルギーに変換しています。そして,自動車は走行した後は必ず停止します。つまり,化学エネルギーは運動エネルギーになり,最後にはすべて熱エネルギーに変換されて捨てられます。これも発電所で一極管理したほうが有利です。
自動車が走行する場合,ガソリンや軽油の燃焼した熱は,最終的にはすべて大気中に放出されることになります。
これは,イメージでいえば,100㎞走行に10L のガソリンを燃焼させた場合,熱的にはそこらの空き地でガソリンを10L燃やしたのと同じことです。
これは,火力発電所でも,電気で電気自動車にエネルギーを供給しているので同じことがいえそうですが,発電所は都市内や人家の近くにはなく,また熱の二次利用も可能です。
また,発電所では高効率で発電できるためエネルギーの大幅な節約になります。送電における損失を差し引いても,電気自動車のほうがエコだといえます。
壊れない
モーターなどの部品は壊れにくいのは確かです。私の乗るリーフも,一度も故障したことがありません。また,回生ブレーキを使うため,ブレーキパッドの交換もほぼ不要になります。10万キロ近く乗っていますが,ブレーキパッドは無交換です。
オイルが不要
トルコンオイルやエンジンオイルが不要です。したがって廃オイルに伴う環境負荷がありません。
個人的には,「騒音が少ない」「排熱がない」の2点だけでも,電気自動車のメリットは大きいと思います。
世の中には,なんでも逆張りをしたがる人がいるものです。
彼らは何か新しいトピックがあると,とりあえず逆張りして,それから理由を考えるという思考方法です。
それが他人には,かっこよく・頭がよさそうに見えてしまうのですね。
でも私は,短絡的な思考だと思います。
逆張りの意見は新鮮かつ刺激的なので,のせられてしまいやすいのです。
電気自動車の欠点
もちろん,電気自動車には欠点がたくさんありますね。
走行距離が短い
これは克服されつつあります。また,普段使いで長距離の走行をしないのであれば,現在でも十分に実用的になっています。
バッテリー製造時や廃棄時の環境負荷が大きい
確かに,現在のバッテリー製造では二酸化炭素排出量は増えるとの報告があります。ただ,バッテリー技術は発展途上です。それぞれのメーカーが次の覇権を握るため研究開発を進めています。また,研究機関でも研究開発が続けられているのですから,将来はさらに環境負荷が低減することが期待されます。また太陽光や風力・地熱などを利用した発電が普及すれば,環境負荷は改善します。
欠点はまだまだあると思いますが,新しいものですから,そりゃ最初から完璧というわけにはいかないと思います。
バッテリー素材はまだまだ知られていないものもあるかしれません。さらに高効率で環境負荷の少ないものが開発されることを期待します。