テスラのサイバートラック (Cyber Truck) が話題です。
近未来的なデザインは評価が分かれるところですが、トラックとしての性能などすべてがいままでにない斬新さです。
綱引き
フォードのピックアップトラックF-150との綱引き競争が話題ですが、この様な綱引きで勝負を決めるのは正当でしょうか。
Cybertruck pulls F-150 uphill pic.twitter.com/OfaqUkrDI3
— Buff Mage (@elonmusk) November 24, 2019
説明では UPHILL (坂)となっていますが、動画で見るかぎり最初の地点はほぼ水平に見えます。
作用反作用の法則
物理学の法則に作用反作用の法則というものがあります。
ニュートンの作用反作用の法則(運動の第3法則)
2 物体が互いに力を及ぼし合うとき、それらの力は向きが反対で大きさが等しい
つまり、ニュートンの作用反作用の法則
から両者が引き合う力は常に同じです。
これは物理の基本原理です。
この原理をもとにかずかずの物理法則が成り立っています。
フォードが引きずられてしまったのは単にフォードにかかる摩擦力が小さい結果です。
そして、サイバートラックのほうが摩擦力が大きいということになります。
勝つために必要なこと
詳しく説明しましょう。
図のようにサイバートラックとフォードが引き合っています。
ここでテスラが綱を引く力を作用とすれば、フォードが綱を引く力は反作用です。
前述の作用反作用の法則により、これらの力は一直線上逆向きで等大なのです。
これは、いついかなる時もそうです。
たとえば、お互いが静止しているときだけでなく運動しているときも成り立っているのです。
まずこのことを頭に入れておいてください。
そうすると、図からフォードに水平方向に働く力は「テスラが引く力」と「摩擦力」だけです。
テスラが「勝つ」ためには、
テスラの摩擦力 > フォードの摩擦力
であればよく、摩擦力の差が勝敗をわけると考えられます。
ところで摩擦力はほぼタイヤと地面で発生すると考えられます。
この時の摩擦力の大きさを決めるのはタイヤの材質や太さトレッドパターン、車重など複雑な要因があると思います。
しかし、もし同じタイヤを使い、さらに車輪の駆動方式も同じでさらに、地面の状態も同じであれば勝敗を決するのは単純に言えば車体の重さです。
なぜなら、単純な場合、両者のタイヤと地面の摩擦係数は同じあり、摩擦力の大きさは
摩擦力=摩擦係数 ☓ 垂直抗力
となるからです。
したがって、このときはテスラがフォードより重かった・・・というのが原因の大きなものと考えられるのです。
こう書くと信じられない人もいるかも知れません。
極端な場合を考えましょう。
テスラのサイバートラックと巨大ダンプカーでは勝敗は目に見えていますよね・・。
ダンプカーのほうが重いからです。
実験してみよう
物理の実験1
まだ納得できなければ、こんな実験も面白いですよ。
モーターで動くミニカーのおもちゃを同じものを2台用意します。
まず同じ勢いで走ることを確認した後、綱引きをさせます。
当然ですが、引き分けですね。
物理の実験2
次に片側のミニカーの電池を放電して弱まったものに変えてしまいます。
とうぜんミニカーは動きが弱まります。
これで綱引きをさせましょう(図)。
どちらが勝ちますか?
- 電池のパワーのある方
- 電池の弱い方
- 引き分け
引き合う力は作用反作用で同じ大きさで、ミニカーの重さは同じなのですから摩擦力も同じになります。
よって答えは・・・・3の引き分けです
物理の実験3
さて、片側のミニカーの荷台に荷物をのせて重くします。
これで綱引きをさせましょう(図)。
どちらが勝ちますか?
- 電池のパワーのある方
- 電池の弱い方
- 重い方
- 軽い方
- 引き分け
やはり引き合う力は作用反作用で同じです。
したがって、このとき電池のパワーの有無に関わらず荷物を載せたほうがかならず勝つのです。したがって答えは3の重い方です。